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ちばの人間探訪

「想い−音楽に託して」

(左画像)
 ミュージシャン 井田聖子さん

路上がステージだった頃―

理学療法士をめざす専門学校生だった頃、勉強の傍ら土曜日ごとに千葉駅前の路上で歌っていた。当初とにかく人が怖かった。通り過ぎる人の存在が悲しく、誰も立ち止まってくれない…自分は何をやっているのだろうと落ち込んだ。しだいに人が集まるようになった頃、週に一度の数時間、聴きに来てくれる人が、また来週も来てくれるようにと願い、精一杯歌った。素通りする人、うるさそうな顔を向ける人の存在も受け入れられるようになった。「路上は歌を聴きたい人だけが集まる場ではないから聴きたくない人の耳にも届いてしまう。そういう人にも誠実であるにはどうしたらいいのか、それは本気で歌うこと、生半可に歌うわけにはいかない」と腹を決めたという。そんななか、ライブハウスANGAとの縁でラジオ日本で歌を流してもらえるチャンスに出会う。こうしてあちこちのイベントから声がかかるようになる。多くの人に支えられ路上ライブが軌道にのったことが自信に繋がった。今はライブハウスでの活動がメインだが、「路上が私の原点」と当時を振り返る。

ギター1本修行の旅―

この春、昨年に引き続き二度目のツアー活動を行い12ヶ所で歌った。名づけて「ギター1本修行の旅」。これは自分を試す場であり、チャレンジの場でもある。知らない土地で歌うと改めて気づくことが多い。自分自身が気持ちを開いて歌えば伝わる、閉じた自分のままではだめなんだということがよくわかる。聴いてくれる人の存在が「自分は間違っていない」と勇気づけてくれるのだという。

人との縁を大切に―

井田さんと話していると、誠実さってこういうことなんだなあ、とつくづく感じる。「上手に歌うことよりどう気持ちをこめるかが大切だと思う。歌手として知名度が上がっても内容がなければ意味がない。一度でも気持ちをこめずに歌ってしまったらもうダメ。それで有名になっても無意味だと思うから」と語る。ライブに来た人、ホームページを見てくれた人からの応援のメールがどれほど嬉しいか、歌を聴いてくれた人の存在にどれだけ励まされるか、とにかく自分を支えてくれる人々にとって価値のあるわたしでありたい。かっこつけて言葉を並べることより本当に意味のある言葉をシンプルに歌いたい、と話す。人との縁のありがたさを心から実感している井田さんならではの言葉である。

スペシャルサンクス―

あなたと あえなかったら あたしは 歌ってはいなかったから〜♪ ファンの人気が高く井田さん自身も気に入っている歌「スペシャルサンクス」の一節。井田さんの想いが凝縮されたような歌詞が心に沁みる。




(2005年4月)


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