ちばの人間探訪
手縫註文靴 靴ノ修理 「○違鷹羽」
(左画像)
○違鷹羽 常世田 哲(とこよだ さとる) さん
千葉駅北口の近辺をうろうろしていたら、ひょっこり「靴ノ修理」という渋い店構えのお店を発見。
あまりにもシンプルな外観と小さなショーウィンドウの中に美しく気品ある紳士靴がおかれているのに引きつけられた。
まず店名が読めない。『まるにちがいたかのは』と読むらしい。店主の常世田さんに意味を尋ねると家紋だという。家紋の読み方を店名にするという発想は中々ないと思う。
お店の中はシンプルそのもの。引き戸であったり、店名であったり、お店のHPを見てもらえると分かるが“和”を感じる。
和がお好きなんですか?と尋ねると
「製靴の本場はイギリス、イタリアなどのヨーロッパになります。が、私は日本の靴店で日本人の職人さんから技術を教えてもらって修行させていただきました。そういう意味ではルーツである“日本の文化”を大事にしたいと思っています」
と。その答え方から店主の芯の通った人柄が窺える。
職人さんとしては、お若く感じますが、お歳は?―
1975年生まれで今年34になります。
若い世代の方は、今、楽なものに走りがちなこの時代に、なぜ職人の道を目指す事に?―
よく聞かれますが、自分でもこれだという理由はわかりません。まさかこの仕事をしているとは十代の頃は思いもしませんでした。ただ心のどこかで「職人」という“もの造り”のプロフェッショナルに興味があった事が、色々な出来事や人との出会いを通じて刺激を受けて、いつの間にか人生というか生き方になってしまいそうになっています。一言では表現しづらいです。すみません。
現在の業務の中心は?―
今、現在は靴の修理・卸しの商品を作っています。一つの靴を製靴するのに、一人で 靴型、紙型、革の裁断からはじまり最後迄全て行っています。そういった業務スケジュールから、残念ながら、注文靴はストップしています。
常世田さんが製靴したものは現在、どこで手に入るのですか?―
現在、卸しているのは石川県金沢市のKOKON(小紺)というお店です。そちらで手に入ります。靴好きの間では知られたお店で、全国よりわざわざ訪れる人も多いのです。
今後の展開は?―
今やっている仕事を安定してこなすことが目標でやっています。技術の上達に日々精進していますし、また、それが自分として非常に面白く感じています。
最後にこの仕事をやっていての醍醐味をお聞かせ下さい―
註文靴については、やはり全ての製靴作業を一人でやっていますので完成してお客様に納める時は涙ものです。 修理に関しては、お客様に「ありがとう」とお礼を言われてしまうことです。お金をいただいている以上、非常に心苦しく感じてしまいますが、やはり、素直に嬉しく思い、また次の修理はさらに良い修理ができるように頑張りたいとう気持ちがおこります。
シンプルな外観
注文靴のサンプル
松ヤ二をひいた麻糸で縫い締める
ハンドソーンウェルテッド製法の
「すくい」という工程
これも「すくい」の工程途中
高級仔牛の革「カーフ」
そのコメントからも誠実でいて、その道のプロとしての芯の通った人柄がにじみでている。 千葉の一味違ったお店だと思う。“もの”への思い入れ。何でも使い捨てに近いこの現代、丁寧に生きたいと思える“もの”へ出会いたいと感じた。
*DATA*
公式HP http://0takanoha.com/
KOKON(常世田さんがオリジナルの靴を担当するショップ) http://www.kokon.sakura.ne.jp/
(2009年3月)
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