ちばの人間探訪
「母乳育児の大切さ」
(左画像)
助産婦 IBCLC 楯(たて) 亜希子さん
母乳育児のエキスパートIBCLC―
IBCLCとは、国際認定ラクテーション・コンサルタントの略称。ラクテーションとは『母乳』のことだ。そして、楯さんは日本ではまだ数少ないこのIBCLCの資格を持つ助産師である。助産師の仕事とともに、母乳育児の重要性を知らせるメッセンジャーとして、実際に母乳育児をしているお母さんの応援団としても活躍している。そんな楯さんの母乳育児支援の講演会に参加し、静かな語り口調の中にこめられた熱き想いを聞いた。
母乳育児がもたらす利点―
母乳育児が子どもにもたらす利点として、死亡率が低くなる、病原性大腸菌やロタウイルスにかかりにくくし、かかっても軽くすむとの報告があるそうだ。そのほかにも中耳炎、気道や尿路感染症、小児がん、肥満、動脈硬化、高血圧、高コレステロール血症、1型糖尿病、アレルギー疾患になりにくいなどのデータもある。母乳育児が子どもに与える良い影響は、このような身体的なことだけではなく、スキンシップなどを通して精神的な安定をもたらすことも良く知られていることだ。しかも、子どものみならず、なんと母乳を与えている母親にも閉経前の乳がん、卵巣がん、子宮体がん、骨粗しょう症が減少するという利点があるのと言われたのには驚いた。
あきらめない母乳育児―
『胸が張らない』『量が足りていないのでは?』という不安から人工乳を足していくうちに、そのまま人工乳だけになるケースは多い。実は、張らなくなったというのは母乳の出が赤ちゃんの欲しがる量にあってきた証拠で、授乳間隔をわざと空けたりして張っている状態が続くと母乳を作る機能が落ちていくのだそうだ。適切な抱き方・吸わせ方を知って実践すれば、特別な場合を除いて、母乳育児は可能だと楯さんは言う。乳児期は体重の増減にも一喜一憂しやすい。しかし、一時的な不安から安易に人工乳を与えるのではなく、楯さんのような専門家に相談することをお勧めする。周りに流されずに適切な情報を選ぶ力が必要だと言えそうだ。
(2005年9月)
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