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ちばの人間探訪

「頑張ることで、さらに輝く人」

(左画像)
 (有)カヴァーズエヌユー
 代表取締役 伊東美惠子さん

よく植物を枯らしてしまうが、このプランターなら。
機能的なプランターの発案者、(有)カヴァーズエヌユー代表取締役の伊東美惠子さん(40)にお話を聞いた。

女性が起業して社長というと“できる女性”として、近寄り難いイメージがある。ところが伊東さんは、どこか手助けしたくなる、親しみやすい女性だ。フジサンケイ女性企業家支援プロジェクト2005で秀作を受賞。その製造販売のための会社を地元千葉に設立。母方の実家が生花店という環境からか、以前から植木鉢に関心はあったという。「鉢と受け皿を一体構造にすることで、排水が下部のキャップを外すだけででき、根腐れさせずにすみます。水や土が漏れ出ないので、場所を選ばず飾れます。きれいなものを簡単に飾れたら楽しいですよね」と伊東さん。デザイン性にも優れ、千葉ロッテマリーンズのオフィシャルグッズとして採用、世界初の生きた癒しグッズとして販売中だ。



しかし起業に至るには、つらい出来事が重なった結果でもあった。20代前半で身体の弱い母の人工透析が始まり、通院介護の為にそれまでの仕事が続けられなくなった。自身も24歳という若さで膠原病という難病に侵されている事がわかった。将来に対する不安と、世の中から取り残されていく焦燥感・・・。その時はただ哀しみしかなかったという。短時間で夜しか働けない事情から、花柳界で働きだした時は、働いているというだけで嬉しかったそうだ。昼間は介護、夜はお座敷という生活を10年続けた。その間、三味線を習得するなど日本の伝統文化の素晴らしさを学び、それを皆に伝えたいと、伝統文化コーディネーターの資格を取得。それを機に日本の伝統芸能を伝える活動をしていたが、安価なチケット代で大勢の方に観てもらいたいとの想いとは裏腹に、資金不足という壁にぶつかる。何とかしなければと考えた末、以前からアイディアのあった植木鉢で起業に踏み切った。働きたい、世間とつながっていたいと思っても叶わなかった経験を持つ伊東さんは、少子高齢化社会になり介護を担いやすい女性が、仕事を通じての自己実現や働く喜びを享受できる社会でなければ、安定した生活や幸福を手にいれることはできないと、就労の場を提供することを目指している。

地元千葉で伝統芸能に触れて頂きたいと、古典芸術祭を10月に予定。日本の伝統的なデザインを取り入れた鉢の開発も考えている。「作っている人が楽しくないと、楽しみは伝わらないですよね」と苦しさの中でも、楽しむ余裕を持ち合わせる。困難を乗り越えていく強さと、“なんとかなるさ”と肩の力を抜く、バランスの良いしなやかさを持つ素敵な女性だ。




(2006年9月)


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