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ちばの人間探訪

「元バイクレーサーが作る車椅子」

(左画像)
 株式会社オーエックスエンジニアリング
 会長 石井重行さん

石井重行さん(58)は、若葉区に本社を構える螢ーエックスエンジニアリング(以下OXと略)の創業者。もともとヤマハ発動機の開発エンジニアであったが、なんでも本音でぶつかる石井さんは“大きな組織”に向かず、独立してバイクショップを経営。市販のオートバイを改造してレースに参戦し、ワークスチームを尻目にポールポジション(予選1位通過)を取ったこともある。その技術力はバイク業界でも一目置かれ、メーカーの新車のテストライディングも任されていた。ところがハンドリングを誤って転倒、頚椎を損傷し、石井さんは車椅子に乗ることに…。

実はここからが石井さんらしい。人生得したと思っているのだ。「車椅子に乗っているから気がつくことがある。車椅子乗ってるのもメリット、貧乏もメリット。人に任せないとできない事ができたから、誰かにやってもらうしかない。本当に人の有難みを感じた」。そしてOXは「家に引っ込んでいる車椅子の人を、ひっぱり出すために」業種転換し、‘93から車椅子を作ることになる。没個性の、誰にでも「平等」だったものを、デザイン性の高い、更に機能性も備えたカッコいい車椅子を製作。OXが成し遂げたことは、製品を作り出しただけではない。「OXの車椅子に乗りたい!」、利用者が声をあげたことで、今まで安価な車椅子にしか降りなかった行政の補助金も、OXの製品にも降りるようになった。いわば、福祉の常識まで変えた瞬間だった。しかし、事業が軌道に乗るまでは、苦難が続いた。社員の給与の遅配、自らも無収入、出張旅費をパチンコで稼いだこともあると石井さんは明かす。その後、OX製品は、テレビドラマにも採用され、パラリンピックでは利用者が金メダルを取った。まさに名と実を取った形だが、ここで夢は終わらない。

今年、中小企業が開発・製造した優れた製品として千葉県が認定する「第1回千葉ものづくり認定製品」の1つに、OX製作のスポーツ用自転車が選ばれた。11月には東京ビックサイトで、新作の自転車を発表する予定。「天気のいい日にさ、千葉公園で車椅子の人とのんびり散歩するとしたら、同じ輪がついてて、同じ速度で歩きたいじゃない。だから、普通の自転車より、車輪が小さい。折りたためば、簡単に持ち歩ける。楽しいでしょう」。 “あったらいいじゃない”を作るのが物作りの真髄、と指揮を取る石井さん。今後、引退を見据えての最終楽章に入る。「車椅子作るときに社員に“またバイクやろうや”って言っちゃった。言ったからにはやりたい」。来年には社員との約束を実現する日がやってくる。

石井さん達団塊の世代は欲しいものは全て手に入れた世代。それでも、まだ夢は果てしない。



*DATA*

オーエックスエンジニアリング
URL:http://www.oxgroup.co.jp/


(2006年11月)


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