BayWave 特集記事
先日、モータースポーツスペシャルで紹介しました 中上貴晶選手のドイツGP観戦に行ってきました。
motoGP 第9戦となるドイツGPは、ザクセンリンク(ドレスデン空港から車で約1時間)で行われます。
日本GPは何度か観戦したことがありますが、本場ヨーロッパでは初!の観戦レポートをお送りいたします。
出発前〜ドレスデン空港
今シーズンが始まり、ヨーロッパでの観戦を中上選手の会社と話し合い、色々なタイミングを考慮して、ドイツGPを観戦することが決定しました。
前回の記事で話してくれた通りに、シーズン前半戦は、第6戦イタリアGPで5位、第7戦スペインGPまですべてトップ10入り、ランキングも8位と好調でした。
しかし、第8戦オランダGPの決勝レース中、バレンティーノ・ロッシ選手(モンスターエナジー・ヤマハ)と接触がありました。中継の画面を激しい勢いで中上選手が横切る、目を疑うような、とても激しい転倒でした。骨折にはなりませんでしたが、左足の靭帯を損傷してしまったのです。
そして、次戦ドイツGPの開催が次週というタイミング、2週空くのと空かないのではケアするにも大違いです。
本当に走れるのだろうか、心配と不安の1週間を過ごし、いざ出発の日になりました。
飛行機で移動中に「Q1チェッカー後のラストアタックで1分21秒102をマーク」と情報が入り、驚きが隠せませんでした。
ドレスデン空港に着くと、中上選手の会社の方が迎えに来てくださり、車でザクセンリンクへ向かいました。
ザクセンリンク到着
田舎の道を走り、ザクセンリンクに到着すると、驚きすぎて言葉を失いました。
「日本GPとは規模が違いすぎる!」本場はこんなにすごいのです。
立派な各チームのホスピ、テラスで寛ぐスタッフ、そして、写真の奥の方には映像でよく見るザクセンリンク・タワーが見えます。
各チームのホスピを紹介します。
【aprilia】 ミラー感すごいですね。
【DUCATI】 ザ・ドゥカティカラーの赤がカッコイイです。
【HONDA】 写真をよく見るとLCRのスタッフさんも写ってますね。
【SUZUKI】 結構、目立ちます。テラスが気持ちよさそうです。
【YAMAHA】 クールですね。
そして、【LCR Honda IDEMITSU】 左側はカル・クラッチロー選手、右側が中上選手のホスピです。
「30」の文字が光って見えます。
ここで、チーム関係者が食事をとったり、ミーティングしたりします。
ちょうど、夕食の時間(日照時間長いので明るいですが)ということで、ホスピで夕食をいただくことになりました。
チームはいつもより、緊迫しています。中上選手は、「痛み止めが効かず、激痛に襲われたまま」予選を終えていて、決勝で走りきれることが不安な状況でした。
そんな状況でも、中上選手は私に「遠くから来ていただいて、ありがとうございます。」と言ってくださいました(泣)。
この気遣い、まさにプロ選手です。
また、スタッフの皆様もとても暖かく迎えてくださいました。
中上選手もスタッフの皆様も、こんな緊迫した状況なのに、なんて良いチームなんだろうと、とても感動して、泣きそうになりました。その時、初めて中上選手にチームの話を聞いた時のことを思い出していました。中上選手のチームへの想いがみんなに伝わって、この環境が形成されているのでしょう。
ホスピの中は、カフェカウンターやソファなどがあり、とてもリラックスできる空間で、ケータリングも美味しく充実していました。(クローズドエリアと思い写真がありません。次回リベンジをお待ちください)
サーキットの中をいろいろと
これからミーティングが行われるということで、私は、サーキット内を案内していただきました。
地下通路を通って反対側に行くと、ピットがあります。地下通路を通る感じは日本GPが開催されるツインリンクもてぎと似ています。
ザクセンリンク・タワーが見えました。ザクセンリンクに来た実感が湧いてきます。
観戦デッキにあがってみました。ここから見えているのは、最終コーナーを立ち上がってきたところです。
デッキの最終コーナー側に進んでみたところです。ここからだと、コーナーの傾斜がわかりやすいでしょうか。かなり下って、そしてぐぐっと登ってきます。
また、写真中央にコンテナのようなバスのようなものが並んでますが、こちらにライダーが寝泊まりしているそうです。1台を半分にして2人分のお部屋、お世話をしてくれるスタッフが常駐しています。もちろん中上選手も契約してここにいます。
なんと!コースを歩かせていただきました!
写真ではわかりづらいのですが、かなりの傾斜があります。ちょっとしたハイキングコースくらいの感じで、間違いなくボールを置いたら転がって行き、転がっていくボールに追いつけない角度です。
ライダーが走り、いつも中継で見ているこの場所に自分が立っているのが、信じられなかったです。
そして、明日の天気が雨という予報が出始めました。この状況でさらに雨なんて、余計厳しいレースになってしまいます。雨が降らないことを願って明日に備えます。
決勝の日 WUP(ウォームアップ)
早朝、雨が降りましたがどうにか曇りで落ち着いています。昨日は半袖で平気だったのに、曇っているせいか気温が低くなっています。晴れてくれるようにテンションをあげつつ、まずはこちらの写真から。
中上選手のオフィシャルサイトなどチェックしていただいている方は、お解りだと思いますが、この前で中上選手の動画など、撮影されています。「わぁ!よく見るこれ!生で見れた!こんなに大きいんだぁ!」とかなり喜んでしまいました。
ピットから、WUPを見せてもらえることになりました。
昨日会った時もずっと中上選手は松葉杖をついていました。
なのでわかっていたつもりでしたが、ピットで見る松葉杖姿は衝撃的すぎます。誰が見たって普通に走れる状況でないのはわかります。涙が出そうになるのをこらえ、ただ祈るしかできません。
戻ってきて、また松葉杖姿を見ると、苦しくてたまりません。決勝まで1秒でも早く休んで、少しでも良い状況になりますようにと願っていました。
いよいよ決勝
コースのどこから見るか、ウロウロして確認した結果、最終コーナー立ち上がってくる、あの場所で観戦することにしました。
見上げると大型ビジョンがあるので、オンエア状況もわかります。
ザクセンリンク全体がビジョンに映し出されました。
ライダーが次々と映し出されます。中上選手は10番グリッドスタートです。
スタートしました。決勝はコースを30周します。
とにかく完走、30周、足が持ちますように。
ビジョンに映る中継と生のバイクの音を聞きながら待ちます。無事に目の前を通り、走り抜けてくれることを祈りまくります。
後、数周、、、他のライダーさん頼むから接触とかしてこないで、無事に完走させてください。「頑張ってー」の日本語が響きます。
30周見事完走!そして14位!この状況で2ポイント獲得です。
もう感激で涙が止まりません。
終わりに
初めての本場ヨーロッパでの観戦が、この壮絶なレースでした。本当に中上選手の強さをたくさん見れました。Q1ラストアタックで1分21秒102というタイムも、決勝を見事完走しポイント獲得したこと、こんなに大変なレースウィークに訪れた私にまで気配りをしてくれる姿は、どんな言葉でも表せないくらいです。
こんなにすごい選手が千葉出身ということをとても誇りに思います。千葉に関わりのある方や、日本の方に、もっともっとレースを観ていただきたいです。
中継で他国開催レース(参戦スケジュールはこちら)を観戦して、10月18日〜20日の日本GP(ツインリンクもてぎ)でサーキットに足を運んでいただいて、みんなで応援しましょう!
中上貴晶 選手
生年月日:1992年2月9日
出身地:千葉(千葉市)
1996年(4歳)でポケバイに乗り始め、1998年(6歳)でポケバイレースデビュー、2001年にミニバイクレースデビュー。
MotoGPアカデミーを経て2008年と2009年の2年間125ccクラスに参戦。
2010年には 戦いの場を全日本ロードレース選手権に移し、2011年にはJ-GP2クラスでシリーズチャンピオンを獲得。
2012年から2017年までMotoGP世界選手権Moto2クラスに参戦。
2018年からMotoGP世界選手権MotoGPクラスに「LCR Honda IDEMITSU」より参戦中。
Takaaki Nakagami Official Web Site
Special thanks to Yukiko Takahashi
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